公益社団法人 日本海員掖済会 宮城利府掖済会病院

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【第56号】雪山登山で学んだこと

 当方が冬山登山をはじめたのは、残雪期の南蔵王の高山植物を見るべく、必要なアイゼンワークを学ぶために冬の姫神山(岩手県)登山ツアーに参加したの がきっかけである。その際朱色が気に入り購入したM社の冬山登山靴が最上級の登山靴であったのである。知らなかった...。 弟クン曰く『その靴買ったなら日本アルプスの冬山に行かないのはもったいない』。そんなことで2年続けて年末に冬の燕岳に登 ることになったのである。ちなみに冬の燕岳は本格冬山登山の入門となる山で、ベースキャンプの中房温泉までの道は冬季閉鎖と なっており、ゲートから6時間歩かなければならない。ハードルを上げて冬山一見さんお断わりというわけである。
 
 さて冬山というのは体外からの寒邪が極端に強くなった状況である。しかし登っている時は結構暑く、ダウンジャケットを着て 登るわけではない。体外からの寒邪をシャットアウトする薄手のゴアテックスのアウターを着用し、中はウールのシャツなどを着 用する。薄手のアウターを着用するということは体表から侵入する寒邪をシャットアウトする漢方でいうところの衛気をさらに強 めるということなのだろう。逆に中の汗を飛ばそうとして外気を入れてしまうと背中が冷えてしまい風邪につながる。寒邪の体内 への侵入を体表でシャットアウトし背中を冷やさない。冬山で風邪対策の原則を学んだ。

 前述のように冬山を登っている最中は結構体はあたたまり、登っている最中は薄着でよい。燕岳の稜線での-18℃の強風で も、ウール下着、薄手フリース、ソフトシェル、ゴアテックスアウターで十分あたたかった。やはり体を温めるのは運動であり、 冷え性対策には運動が大切であることを痛感した。

 冬山ではお湯を飲むと体があたたまる。これまでお茶も飲みすぎるとカロリーがないので体が冷えると考えてきたが、短期的に はお湯で体が温まることを経験した。暖かい飲み物食べ物を摂取すると体は温まり体調が維持できることを知った。このようにい ろんなことを教えてくれ、また絶景を楽しませてくれた冬山登山ではあったがそろそろ足を洗う時がきたようではある。

発行日:2025.01.14