公益社団法人 日本海員掖済会 宮城利府掖済会病院

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【第55号】七ツ森九掛けと千日回峰行

 大和町にある七ツ森の各山の山頂には薬師如来が鎮座しており、地元では古来より無病息災や結婚などを祈願して七つの薬師如来を参拝して回る薬師七掛けが 行われてきた。近年登山ではこれに隣接するタガラ森と堂ヶ森も加えて回る九掛けが行われるようになった。全行程19.2㎞。 登り標高差合計1597メートル、下り標高差も1597メートル。時間にして11時間弱。消費カロリーは3016kcalで ある。当方は骨のある登山の前にはトレーニングとしてこの九掛けを荒行と称して連続3回行うことにしている。九掛けを行う度 に体が壊れ脱皮して筋力増強が繰り返され、3回行ったあとは見違えるような体力になっているというわけである。この過程で心 のわだかまりも壊されていき、すきっとした気分になることを経験している。

 ところでこの七ツ森九掛けの負荷は千日回峰行と比較してどの程度のものなのだろうか。調べてみたところ延暦寺の千日回峰で は 7年目に80㎞歩く過程があり、この時は2時間しか睡眠時間がとれないという。また世界最難関とされる大峯千日回峰行は比べ 物にならいくらいの難所のある46㎞を毎日歩くのだそうである。七ツ森の九掛けですきっとした気分になるということと千日回 峰行における悟りとは別次元のものであることはわかった。

 ただ、史上2人目の大峯千日回峰行満行者であられる塩沼亮潤さんは『歩行禅のすすめ』という本でこう書かれている。歩行す ると約7割の筋肉が動き、血行が促進され、頭も冴えると。歩けば気分がよくなることは間違いないようだ。瞬間的にニルヴァー ナということもあるかもしれない。

発行日:2024.07.01