公益社団法人 日本海員掖済会 宮城利府掖済会病院

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【第51号】五色をそろえ薄味に

 外来で食事について、『なに食べたらいいのっしゃ』と聞かれるので、『Dr片寄の食べるならこれ』というブログをはじめ、当方が食べている昼食をアップしている(nan1tabetara.hatenablog.com)。しかしこんなもの食べてます、こんなもの食べてますとおみせしても、よい食事の原則はいまひとつわかって頂けないようなのである。また、甘いものは控える、塩分は控える、揚げ物はなるべく食べないという話をしても他の食事内容を伺うとなんともバランスの悪い食事をしている事例も見受けられる。

 そこで、白黒赤黄青の五色をそろえましょうと指導することにした。これは漢方の大家故寺師睦宗先生に教えていただいたことで、漢方の陰陽五行の考え方によると、宇宙は五つの要素でなりたっており、食事も五つの要素を摂ればバランスのよい食事がとれるというわけである。

 しかし、五色をそろえればいいかというと、それだけではすまない。赤は菓子パンのイチゴジャムでとり、白はクリームでとるという人がでてくる。五色をそろえるというだけでは十分ではない。甘いものをやめ、塩分を控え、揚げ物は避け、野菜をとり、タンパク質はなるべく魚でとり、卵小魚ナッツより必須脂肪酸、ミネラル、微量元素をとり、パンは全粒粉のパンのみ食べ、お米は玄米や雑穀入りにし、マーガリンは口にしない。その上で五色をそろえれば良いのだが。これでは全然やさしくない。

 これに『薄味にする』という文言を加えたらどうだろう。濃い味付けを避けることは糖分、塩分過剰摂取の回避につながり、揚げ物を避けることにはつながる。少なくとも赤はジャムパンでとる、白はクリームでとるという抜け穴は回避できるかもしれない。ここ当分は『五色を揃え薄味にする』という指導でいきたいと思う。ウイルシー。

 エピローグ:食事指導におけるパンの位置づけには頭をかかえている。菓子パンは論外だが、白い食パンもおすすめできない。特に最近は高級食パンといって、甘い味にしたものやクリームを加えたものがでてきているので始末が悪い。全粒粉を使ったカンパーニュなどなら良いと思われるが、そういうパンは菅生にある麦屋(現在は麦小屋)などに行かないと手に入らない。スーパーやコンビニで全粒粉のパンがないかと探してはいるが、みつけた全粒粉のパンはマーガリン入りであった。現時点でお伝えできるのは『パンはやめ、なるべくごはんにしては』ということになるが、白米も食べ過ぎると糖尿病になりやすくなるのでこれまた要注意である。

発行日:2022.07.04