公益社団法人 日本海員掖済会 宮城利府掖済会病院

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【第52号】からだのふしぎ

 仮想現実空間が注目されている昨今ではあるが、職業柄か、からだという現実のふしぎにより興味が惹かれるワタクシである。

 数年前のことである。当方はそのころ左頸部痛に悩まされ、何軒かの接骨院、鍼灸院に通っていた。症状の改善はみるものの完治とまでには行かなかった。その年の秋のことである。八ヶ岳登山をしたところ、驚いたことに左頸部痛はすっかりとれ、しかも心のわだかまりがすべて洗いながされすがすがしい気分となれたのである。まさに『八ヶ岳療法』である。この時の八ヶ岳登山は、結婚後登山嫌いの家族と登山に関して喧嘩が絶えず、一緒に登山することは諦め一人で登山に行った最初の本格的登山であった。長年行きたかった本格的登山に晴れて行けた喜び、快晴の中での八ヶ岳の絶景を見ての感動に加え2日間にわたり長時間歩いたことによる血行促進や発汗などが奏功したのではないかと思われた。運動は大切だなと強く思った。その後当方は大キレット、剱岳、冬季の燕岳などの日本アルプス、近場では七ツ森薬師七掛け(正確にはタガラ森、堂ヶ森を加えた九掛け)などの登山を続けているが、その後左頸部痛とは無縁となっている。

 これまた数年前の話である。当方は本来甘党であったが、砂糖摂取の弊害を耳にするにつれ、一念発起して甘味の摂取を完全に絶ってみたのである。するとどうだろう。驚いたことに欲深い感じがすーっと消え、物事に執着しないような軽い気持ちになれたのである。しかも空腹時に食べたい食べたいという食べ物をむさぼるような食欲とも無縁となったのである。快便ともなった。悟りを得る=ニルヴァーナというのはこういう感じなのかなと思った。

 以上のような体験も踏まえ、当方の外来では運動と甘味摂取を控えることをお勧めしている。個人的な体験だけではないかとおっしゃる方もおられるかもしれないが、エビデンスはできた。この度当方の甘味冷飲食の回避、姿勢矯正、睡眠衛生改善、運動などの指導に素直に従った患者様の体調が劇的によくなった実例を医学雑誌Traditional Kampo & Medicineに掲載できる運びとなった。タイトルは“Yokukansankachimpihange therapy fortified with bisoprolol and lifestyle changes in a patient intolerant to antihypertensive agents. ”である。こちらで 全文を御閲覧頂ける。これが生活改善への一念発起に二の足を踏んでおられるかたの後押しとなり、一人でも多くの方々にからだのふしぎを体験頂き健康的な人生をお送り頂きたいと願うばかりである。運動できない人はどうなの?ワインはどうなの?これらの疑問にもいずれ答えを出していきたいと考えている。

発行日:2023.01.23