【第23号】カラオケ革命
院の新人歓迎会もお開き。いつものカラオケ大好きメンバーもいないし、今日は1次会で帰ろうかと考えていたら、『先生、カラオケ行かないんですか?』との声があった。そう言われればやはり行かない訳にはいかない。ということで私を先頭に約10名で2次会のカラオケ会場に足を向けた。大変に楽しい2次会であったが、歌いながら思うこところもあったのである。
研修医時代は『カラオケの鬼』と言われていた私であるが、あれから25年近い年月が流れた。かつての『カラオケの鬼』も年々声が出なくなり、曲も研修医時代の財産で歌っているだけで見るかげもない。毎回、財津和夫の『サボテンの花』を歌うと、スタッフは『またか』と思っているに違いないが、歌っている私自身も『またか』という思いである。ここらでカラオケ人生もマンネリと老化の極地を吹き飛ばし再スタートを切れないか。そこでふと思ったのである。過去のレパートリーは全て廃棄し、歌う曲はすべて『黒っぽく』R&B(リズムアンドブルース/ヒップホップ)テイストにリニューアル!しかも『黒っぽく』踊りながら歌ってみてはどうかと。すなわち『カラオケ革命』である。
『カラオケ革命』に採用される曲の条件は、1)私が歌える歌であること、2)みんなが知って曲であること、3)『黒っぽい』R&Bのリズムとメロディーであること、の3点である。まず外見はヒップホップなExile。でも曲はアップテンポで、メロディは歌謡曲。しかもキーが高くて歌えない。リズムは『黒っぽい』青山テルマもメロディーラインはユーミンのようだ。昨年秋、ヒップップ武者修行と称し倉木麻衣のコンサートにいったが、ヒップホップを踊っているのはステージのダンサーと私だけで、殆どの聴衆は始皇帝の兵馬俑のように直立不動で腕を左右に振っているだけであった。この聴衆相手では『黒っぽい』のは無理。曲も歌謡曲化せざるを得ないのだろと納得した。そしてAZUのようなR&Bテイストの強い曲になると一般受けしない。 SEAMOをはじめとする日本人ラッパーの曲は形式はラップでもポップスの早いリズムで、超早口かつキーも高く素人には歌うのは不可能。昨年郷ひろみがR&Bリズムの曲を出したので『もしや』と思ったが残念!キーが高くて歌えなかった。
そんなことでJ-POPからは3条件を満たす曲は見つからず、私の『カラオケ革命』は頓挫している。ま、頓挫していいのである。新型インフルエンザも世界的広がりをみせる昨今、感染対策委員長たる私にはやはり『カラオケ革命』よりは『新型インフルエンザ対策』であろう。でもそういえば『宇多田ヒカル』がいたなあ….『カラオケ革命』は終わっていないのかもしれない。
発行日:2009.05.18