【第21号】R&B(リズムアンドブルース)と相馬盆歌
昨年12月の法事以来体重は増えたまま。かといって運動時間の確保もままならない。こうなると通勤の運転時間約40分がなんとももったいない。この時間をなんとか運動にと考え、ふと思いついたのがヒップホップ。ヒップホップにはダックやバット、アリゲーターといった胴体を動かす動きが沢山あり、足は動かせなくとも胴体で運動するのは可能であると考えたのである。弊害は交差点で停車中、横断歩道を歩いている小学生にギョッとされるぐらいである。その後ヒップホッププロジェクトは『エンドカウントで聴診器を動かす』、『エンドカウントで受話器をとる』、『検診の所見記入はエンドカウントで行う』など今や私の生活全体に浸透。残念ながらいまだ減量効果は確認できないが、意外なことにヒップホップ(R&B)のリズムには心をリラックスさせる効果があるようである。
いずれは自分もこの世を去るなんて光景が想像できるようになると、アップテンポの曲を聴きながら人生を疾走するよりは、ヒップホップ/R&Bのゆっくりしたリズムでマイペースでいくのが合っているようだ。最近のお気に入りの曲はAZUの『時間よ止まれ』。髪型、体形ともマグマ大使のような最近のビヨンセ(ももんが20号参照)からは離れ、あっさり系の日本人R&Bボーカルを模索した結果である。線は細いがややハスキーで旨みのある声で、山梨の『甲州』ワインを彷彿させる。気に入ったので着メロ大家の鈴木沢也医師の指導のもと生まれて初めて携帯に『時間よ止まれ』の着メロを入れた。デートの終わりの時間がきてしまって、時間がとまったらこの楽しい時間をもっと過ごせるのにという内容の曲である。私の耳には時間はとまらずいずれ私の家族にも別れがくるのだろうなときこえたが、R&Bのリズムがそれもしかたがないと思わせてくれたようである。
小学六年から受験生をしていた私にとって、夏の夜、盆踊り大会で聞こえてくる『相馬盆歌』はなんとも耳障りであった。『うるせえ!』と心の中でなんども叫んだものである。この度CDで『相馬盆歌』を聴いてみたら、R&Bと同じようなゆっくりしたリズムで心なごむものであった。父は生前エアロビクスに執心していた頃、ンタンタのリズム(エンドカウント、あるいはクラッシックのアフタクト)が心臓の鼓動に通じ、これが一遍上人の踊る宗教の奥儀ではないかと語っていたが、R&Bあるいは相馬盆歌のようなゆっくりしたリズムが、心を和ませ、涅槃のような境地に導いてくれるのかも知れない。新盆には『相馬盆歌』でヒップホップを踊ってみたいと思っている。
発行日:2008.08.18