公益社団法人 日本海員掖済会 宮城利府掖済会病院

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【第48号】Go To からだ

 今年の前半はコロナウイルス流行により学会がWEB開催となり出張がなくなり、その間当方は『立ち続ける力 ~人生100年時代の筋トレ~』 (日本海事新聞 21227,4-4,2020)、『器質的疾患を伴わない頭痛めまい動悸などの症状に対するセルフケア』(宮城県医師会報 895(8),601-602, 2020)、『老年期に備えるセルフケア』 (えきさい312夏号22-25, 2020.)の三篇を上梓した(http://mstdance-ah.com/より閲覧可)。これらにより食事、睡眠、姿勢に注意し、バスや鉄道の中での運動、登山、ストリートダンスなどの運動を行うという健康寿命を維持できている間の人生の過ごし方は確立できたと考えている。 
 しかしこの10月に当院がコロナウイルスの院内感染に見舞われ職員の行動規制が厳しくなったことは『歩けなくなったらどうなるのか』ということを考えるきっかけとなった。歩けなければ旅行もできない。登山もできない。ダンスも踊れない。バスに乗ることもできない。歩けることが前提の健康法や娯楽は全て無効である。歩けなくなった場合に備え運動や移動を前提としない健康法や娯楽を考えなければならないと思った。ここで漢方医学的整体観をふと思い出した。それによれば大宇宙の原理は人体や細胞などの小宇宙にも同じように働いているという。もしかしたら旅行や登山をするという大宇宙を経験する行為は、内なる小宇宙すなわち自分のからだへの探訪と同じかもしれない。『Go toからだ』である。
 『Go to からだ』の切符の一つは、濃い味付けの食事を控え、規則正しい生活を送り、全身の感覚を研ぎ澄まし、体調の変化に敏感になることである。体の感覚が鋭敏になると今日はここが変だな、ここがいつもより痛いなということに気づくようになる。そして気づいた症状がどうして今の自分にあるのかなと考えるのである。個々の人間の体調の変化は人それぞれに個別的な問題であり、その謎解きには科学をベースとし人体を同一のものとして見る現代医学はあまり役に立たない。そのような個別的問題に答えてくれるものの一つは素問や霊枢のような漢方の古典である。当方もそれらを読むのは駆け出しだが、少なくとも季節の変化と症状、飲食と症状などの問題については答えてくれている。漢方の古典は沢山ありしかも難解なので多分一生かかっても読み終わらない。リタイア後の余暇を利用法としてはもってこいである。素問、霊枢が難しくて読めないという方は江戸時代の儒学者貝原益軒の養生訓をどうぞ。養生訓は素問、霊枢をもとに書かれた書物なので素問、霊枢が読めなくてもその世界を味わうことはできる。 
 『Go toからだ』は、歩けなくなってからの旅行というだけではなく、あるけるうちから旅立つのがお勧めである。甘いものなどを控え腸内細菌叢が良くすることができれば、免疫力はアップしCOVID19と戦えることは間違いないからである。『Go to からだ』への旅立ちは今でしょ。

発行日:2021.01.18