一般社団法人 日本海員掖済会 宮城利府掖済会病院

【第38号】骨つぎ鍼灸の旅

 当方この数年来坐骨神経痛に悩まされてきたが、週末デパートで買い物をしていて、遂に激痛で歩けなくなりうずくまってしまった。お客さんや店員から『どうししたんですか、大丈夫ですか』と声をかけまくられる始末。その場で東洋医学会宮城県部会役員としてお世話になってる鍼灸師の先生に連絡し急遽鍼灸治療を受けることした。手術を受ける予定にはなっていたのであったが手術予定日はまだ先。それまでの痛みコントロールを鍼灸院、接骨院でお願いすることにしたのである。

 中国留学歴あり中国流の鍼の使い手。症状軽減は可能であるが根本治療は難しいと。坐骨にピっと電気が少し走るくらいに深く刺す鍼と比較的少な目の置き鍼を行い温熱器で置鍼部位を暫く温めるスタイル。腰痛は物理的な圧迫のみなら精神的ストレスなどが増悪因子となるとの説明を受け精神的ストレスも緩める置鍼をやってくださった。鍼を受けている間は横になって休める。痛みも精神的ストレスも軽くなり休むことが許されるひととき。これは究極の癒しだと思った。これに味をしめて手術までの待機期間中鍼灸院・接骨院巡りをしてみようと思ったのである。

 職場に近いある鍼灸院に行ってみた。僕の鍼は痛いよとボンボンと手慣れた手技で腰回りを中心に鍼を打っていく。そして腰の筋が緩んだところで直接坐骨神経に鍼。びーっと電気が走る。『あ、先生電気が!』。先生『もうちょっと』。あ、とまた電気が・・・。僕の鍼は痛いから嫌われるんだよ。このぐらいやらないと物足りないんだよと。確かに疼痛は軽減していた。

東洋医学会東北支部学術総会で特別講演をお願いした先生の鍼灸院にも行ってみた。こちらの先生は経絡治療という日本の伝統的鍼灸治療を踏襲。今回は助手の先生の治療であったが、手足などの重要なツボに浅く置鍼して遠隔操作で病巣を治療するスタイル。深く刺さず優しい治療。不思議なことにそれで治療効果がある。同じ鍼といってもスタイルが全く違うのに驚いた。同じ流派に属する別の鍼灸院にも行ってみた。やはり同じ経絡治療のスタイルで優しい鍼。サービスでキネシオテーピング、吸い玉など色々な治療をやって頂いた。1時間半も治療して頂きちょっと申し訳なかった。

接骨院にも2か所ほど行ってみた。坐骨神経が出てくるあたりの筋ががちがちになっているといって、ツボにはまったマッサージを念入りにやって頂いた。手術直前に行ってみた接骨院では念入りなマッサージと電気刺激療法の併用。これも実に心地よかった。

手術してわかったことであるが、画像診断の所見よりははるかに重症で、神経は骨の圧迫でぺしゃんこになっており硬膜から剥離が困難なほど強く圧迫されていたと。もとより保存療法で治癒する病態ではなかった。立位になると激痛が走り、治療の効果は一過性ではあったが、座位になると痛みがないことに気づき、狂言師のように中腰で歩くスタイルをとるようになってからは激痛を軽減でき鍼灸接骨院治療の効果もある程度持続したようであった。

しかし無理な中腰姿勢で歩いていたことの影響は結構あったようで、術後理学療法士さんからは姿勢のアンバランスさを指摘され筋緊張を調節し姿勢のくずれを矯正して頂いた。これまた不思議な治療で、マッサージしている風でもない。だが筋は楽になり血行も良くなる感じがある。『いったい何やってるんですか』とざっくばらんに伺ったら、長野の先生がはじめられたバイオメカニクスという治療で、関節や骨の位置を適切に調節すれば筋の緊張は自然にとれるのだという。色々な治療があるものである。

術後少なくとも日常生活に支障ある痛みはなくなった。ここまでくるまでにいろいろな先生にお世話になったなという思いがある。かつて馴染みのワインバーを維持しなければならないと思っていたが、これからは馴染みの鍼灸院・接骨院の先生方とコミュニケーションをとっていきたいなと思った次第である。そんなこともあり、当方がご指導を仰いでいる練馬総合病院漢方センター長中田英之先生のご支援のもと『東洋医療連携の会in利府』を主催したいと考えている。以下講演会などを企画しているのでご興味がおありの方は是非ご聴講をお願いする次第である。

東洋医療連携の会in利府共催の講演会(予定も含む)
 講演会 石山陽奈香(陽仲治癒院 院長 東京・練馬区)
 とき:平成28122日(金) 5:15PM
 ところ:宮城利府掖済会病院 2階会議室
 981-0914 宮城郡利府町森郷字新太子堂51
 電話:022-767-2151
 演題:温熱・手技療法の東洋医学的活用法~鍼灸あん摩の技能から~

講演会および懇親会(予定)
 演者:中田英之(練馬総合病院 漢方医学センター 東京・練馬区)
 とき:平成28316日(水)

 

発行日:2016.01.12