公益社団法人 日本海員掖済会 宮城利府掖済会病院

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【第30号】冷やしクリームパンと焚火

 当院の地震対策委員長は1年半ほど前当方よりS先生にバトンタッチされたが、S先生の任期中は一度も会議が開催されることはなかった。 S先生辞職後再び当方が地震対策委員長に就任。そして3月上旬の比較的大きな余震の際看護部長と『来週の火曜日に地震対策委員会開催しましょうね』と話をしていたところその前の週の金曜日、そうあの3月11日に本番の地震がきてしまったのである。院長不在で当方が災害対策本部長に。

 で、蓋をあけてみたら・・・『先生、食材が2食分しかありません』と栄養士に泣きつかれる。泣きつかれても・・・。3日分貯蔵してあるはずであったのに魔の一年半で2食分になってしまったのか。 こっちが泣きたい。 どうする? 早速職員を走らせ食糧調達に。ある職員が利府町のお菓子屋カトーマロニエさんの前を通りかかったとき、カトーマロニエさんが本来冷凍しなければならない冷やしクリームパンを停電のため冷凍できないでいるところに遭遇した。その場で冷やしクリームパンを全部買いあげる商談を成立! なんとか食べ物は確保。かくして当院は職員、患者さんとも来る日も来る日もクリームパンを食べ続けることとなった。本物のバニラビーンズが入った2色味のクリームパン。結構美味しかったな。

 しばらくすると『先生ガスコンロのガスがもうありません。料理できません』とまた栄養士に泣きつかれる。『それじゃ裏の駐車場で焚火だ!』と指示。かくしてリハビリ科の理学療法士2名がかまど係に任命され、駐車場に設置したかまどで火を焚いて給食を作ったのである。『焚火だ』ときいて目を丸くしていた栄養士の表情がおかしかったなあ。実はこの時の栄養士は1年契約の代理栄養士であったのである。代理なのに彼女には大変な思いをさせてしまった。『焚火だ!』なんてね。でも送別会の時話をきいたら『自信になりました』と。『焚火』で給食作ったんだから、どんなことがあっても『泣きつかず』どこででも栄養士できるだろうなあ。

発行日:2011.07.11